予防医療

朝から重力に負けるとか、もったいない

一日の始まりは、朝の目覚めから始まりますよね?最近スッキリ起きられていますか?

睡眠の本が書店のランキングに乗っていたり、オーダーメイドの枕が2ヶ月待ちだったりしますよね。皆さんの睡眠があまりうまくいっていないことと睡眠に対する関心が高くなっていることがわかります。

今回は、寝起きを良くするための睡眠について書いていきます。

よくいわれるような、寝る前は食事を控えましょうだとか、お風呂に入りましょうだとかの対応については別の機会に書くとして、今回は自律神経から眠りを考えていきます

自律神経はどこにある?

自律神経という単語を聞いたことがありますか?ざっくり解説すると、名前の通り自律して働いている神経です。自分の意志ではどうすることもできない動きに関わる神経と言ってもいいでしょう。心臓を動かしているのも自律神経、無意識に呼吸をしているのも自律神経。腸を動かしているのも自律神経。逆に意識して動かせる部位(手・足)は体性神経という神経が支配してます。

自律神経には交感神経副交感神経という神経があります。これまた、ざっくりいうと活動のスイッチを入れる神経回復のスイッチを入れる神経と言えるでしょう。

書店に並んでいる本では、交感神経を抑制して副交感神経を優位に働かせることで深い眠りを得ようとする方法がほとんどです。活動のスイッチを切り、回復のスイッチを入れていることになるので、これは有効な方法ですよね。

ところで、みなさんは自律神経がどこにあるかというのは意識したことがあるでしょうか?

神経なんだから脳から伸びている?心臓を動かしているんだから心臓につながっているんでしょ?

2つとも正解です。下の図を見てください。

図:おおいし治療院

黒い線が交感神経で赤い線が副交感神経ですが、ほとんどが脊髄神経と内臓を結んでいることがわかりますよね。交感神経は胸髄と腰髄からでていて、副交感神経は仙髄と脳から出ています。ちなみに、交感神経幹は神経と神経の中継所みたいな部位で、場所は肋骨と背骨の関節(肋椎関節)があるのですがそのあたりに点在します。

神経が働くってどういうこと?

自律神経の場所がわかった次は、神経が働くということはどういうことか?多分知っている人がほとんどですよね。電気信号が走ります。手足を動かす神経も自律神経も電気信号によるものという点では同じです。

違いといえば、神経の太さが異なります。手足を動かす神経(いわゆる運動神経)の太さが12~20μmなのに対して、自律神経は脊髄から自律神経節の間で3μm、自律神経節から内蔵の間では0.5~1μmという太さです。運動神経が片側4車線の幹線道路だとしたら、自律神経は1車線の田舎道と言ったところでしょう。当然伝達速度も遅いわけです。

伝達速度が遅いということは、たくさんの電気信号が入ってきたら大変なことになってしまいます。

さしずめ、田舎道に大量の車が流れ込んできてしまうような状態でしょう。車なら、止まっていれば済むことですが、電気信号が止まって待てるはずもありません。漏電してしまい、周りの筋肉を緊張させてしまいます

神経の緊張

ところで、坐骨神経痛という病気を聞いたことがありますか?これは、神経を筋肉などの軟部組織が圧迫することによって生じる病態です。症状としては、しびれや痛みが生じます。

坐骨神経で症状が出るのに自律神経では症状は出ないのでしょうか。自律神経でも特に交感神経が優位に働いていると、電気信号が周りの筋肉を刺激します。その状態が続いていると、椎間関節(背骨の関節)や肋椎関節(背骨と肋骨の関節)周囲の筋肉の緊張が高まってしまいます。そして今度は、神経の周りの筋肉の緊張が交感神経の緊張を作ってしまうのです。

つまり、神経の周りの筋肉が緩んでいる状態ではないと安眠にはつながらないというわけです。

朝の目覚めが悪い人の大半は、ストレスにより交感神経が過剰に働いているのではないでしょうか。デスクワークが多くて肩周りの筋肉が固まっているのではないでしょうか。

そのような状態では、枕を変えても筋肉の緊張が取れなければ安眠には繋がりません。

背骨周囲の筋肉の緊張をとると、ぐっすり眠れたとか朝の目覚めが違ったという人は一定数いるようです。

筋肉の緊張を取るには

背骨の硬さが安眠を阻害してしまう理由は理解できたでしょうか?さらに背骨はバネとしての役割も有しているので何かと悪影響が出てしまいます。

背骨の柔らかさを取り戻すには、周りの小さな筋肉がしっかりと伸び縮みするようにしなければなりません。そのための簡単な体操を紹介します。

ストレッチポールは皆さんご存知でしょうか?

今回紹介するのはストレッチポール、ではなくタオルストレッチポールです。皆さんのご家庭にもあるバスタオルを使った運動です。

実は、ストレッチポールだと固くて丸いので、上にのったときに安定しません。安定しないものの上に乗ると人間の体は緊張してしまいます。背骨を柔らかくしたいのに筋肉を緊張させてしまっては効果的ではありませんよね?

その点、タオルストレッチポールは柔らかいので不安定にはなりにくいです。つまり、筋肉をリラックスさせた状態でほぐすことができます。背骨を柔らかくするという点では、ストレッチポールよりもタオルのほうがおすすめです。

やり方は、バスタオルを半分の長さに畳んだあとにくるくる丸め、下の図のストレッチポールのように体に当てます。当てる部位は背骨の真ん中左右の背骨のすぐ横の3パターンをやるといいでしょう。

図:ストレッチポール公式ブログ

タオルの上にのった状態で1分ほど深呼吸するだけでオッケーです。肩をゆっくり大きく10回ほど回すと更に効果的です。

私の場合は、小さなボールを自分の体の固くなりやすい場所に当てて肩を回すことで体のメンテナンスをしていますが、やったあとには体(特に肩)が軽くなるのを実感できます。

寝る前に背骨の柔らかさを回復させ、一日のストレス、精神的な緊張と体の緊張をリセットしましょう。

朝から重力に負けるとかもったいない

今回の文章で、自律神経のことと筋肉の緊張の関係性についてなんとなく理解できたでしょうか?

ここまで読んでいただいた皆さんは、どうして朝の目覚めが良くないのか知ることができたはずです。

そこで伝えたいのは、原因がわかっているのにそのままにしておくのはもったいないということです。

もし、朝からだるさを感じている人が、そのだるさを解消することができるのなら。生活の質は大幅に上がるのではないでしょうか?

朝のスタートが上手く行けば、その日はうまく行きそうな気がしませんか?

つまり、朝から重力に負けるとかもったいない

みなさんが自分の体をいたわり、日々の生活が少しでも良いものとなることを祈っています。

引用・参考文献

  • 佐藤達夫:臨床のための解剖学
  • 神野哲也:ビジュアル実践リハ 整形外科リハビリテーション
  • エレイン N.マリーブ:人体の構造と機能 第三版
  • 中村隆一:基礎運動学 第6版
  • こころとからだのリハビリテーション研究会:Spine Dynamics療法講習会資料
  • 西野精治:スタンフォード式最高の睡眠