仕事の記録

幸運を育てる 0.04

面接が終わると、就職エージェントから電話が来る。

面接の結果や、本人の感触を確認するためだ。

会社と利用者のいい関係を模索していく。会社にどのような印象を抱いたのか。会社としてはどんな人のように感じたのか。間に入る人がひとりいるだけで何事もスムーズに進んでいく。

僕の担当は女性だったが仕事が早い。

面接の仕方から、履歴書の書き方まで指導してくれた。履歴書や職務経歴書は手書きがいいらしい。

僕は、今どき手書きじゃだめだと落とすような会社には就職したくないな。と感じてはいたが、素直に手書きで履歴書を出したかどうかはちょっと思い出せない。

面接の練習は大学受験のとき依頼やっていない。

彼女たちは、ある意味では面接のプロだ。

会社側がどのような人間を欲しているのか、知っており、適切な人間を送り込む。

そして仲介手数料をいただくわけだ。

「転職の思考法」という本をその頃に僕は読んでいた。

転職に望むにあたっての心構えがわかりやすく解説されている。

具体的なアクションも載っており、転職を考えている人にはおすすめの本だ。

その本の中に就職エージェントの使い方についても解説されていた。

基本的には、就職エージェントは早く決めてしまったほうが効率のいい仕事になる。

なかには、とにかく早く効率のいい仕事を重視するような人もいるので注意する必要があるとのことだった。

僕は、自分の担当の人が親切にしてくれていたので、それほど心配する必要はないと感じていた。

このときは。

「転職の思考法」には、本当に会社を悪くしてしまうのは誰なのかということも書かれていた。

現状に文句ばかり言って、現状を変えようとする努力をしない従業員。

社長は、必死に会社を立て直そうとするが、現場の人間は他人事。

従業員のことを人だと思っていないような扱いをする会社もあるだろう。

どっちの会社が多いのだろうか。

搾取することしか考えていない社長。お客様気分の従業員。

間違いなく言えることは、社長は起業した頃は、どんな平社員よりも大変な思いをしているはずだ。おそらくだけどね。

面接は順調に進んでいった。

最初の会社が終わり。

次の会社、そしてまた次の会社。

パソコンの衛星中継で面接をするような会社もあった。

株式会社は何でもありかよ、と一人で楽しんでいた。

僕は株式会社に、病院や施設よりも最先端の技術を積極的に取り入れていると言ったイメージを抱いていた。

それは、非常勤で働いていた訪問看護事業所の影響が大きい。

カルテは全部スマホで済ませるなんて想像してなかったから。

訪問先の地図もスマホにデータでのっている。

とにかく効率がいい。

そのイメージがあったので、設備についての質問はほとんどしなかった。

株式会社の訪問看護は全部そうなんだろって勝手に思っていたんだ。

面接の結果だ。

3つうけて、3つとも内定。

国家資格を持っている人間の強さだろう。

最初に受けた会社は、担当者の感じが悪かったから行きたくない。

2つ目の会社は、立ち上げの可能性があるが給料は安め。そして家から少し遠い。3つ目の会社は面白そうな理念、活動、そして家から近い。

面接を最期まで終わらせた段階で、僕はどの会社に行くか悩んでいた。

2つ目の会社と3つ目の会社。

どちらにするべきか最後のところで決めきれていなかった。

そんなときに、就職エージェントは3つ目の会社を進めてきた。

正村さんには3つ目の会社の雰囲気が合うのではないか。

就活をすすめる中で、何度も電話でやり取りをしていた。どうして、就活をしなくてはならなくなったのかの経緯もはなしていた。そんななかで、彼女の力強い提案は僕には否定する必要性を感じなかった。

その時は僕にとってベストな選択だと思っていたが、彼女が本当に僕に合うかという視点で職場を紹介してくれていたのかは、あとになった今でも未だにわからない。

とにもかくにも、新しい職場は決定した。

どんな気持ちだったかって?

とりあえずやるしかないだろって気持ちだったよ。

無職を卒業できたことに喜びを感じていた。

社会的な安定が、精神的な安定をもたらすのだと僕は学んだ。

<続く>

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