ライフスタイル

より良いチームの作り方【訪問リハ】

マズローの5段階

昨今、介護事業所においては人員の確保が課題となっているように感じる。

医療職の人間や介護職の人間は自分の望むような理想の環境を求めながら、様々な環境を転々としているものが増えている。

さながら、一箇所にとどまらないキャラバンのような人たちだ。

新しい刺激と人間関係を求めながら、安住の土地を探しているが現実にはなかなか存在しない。

顧客満足度を追求する上では、質の高いスタッフの確保は必須だと思っている。

それでは、どのような方法を取れば従業員の満足度を向上していけるのか?

優秀な人ほど、さっさと辞める

一番初めに考えていきたいのは、従業員が職場に対して何を求めているのかという視点だと思う。

マイナビの調査によると、退職の理由の1位は「給料面(13.8%)」2位は「労働条件(13.7%)」3位は「職場の人間関係(9.2%)」となっている。

しかし、良い給料を払えば、いい人材が確保できる。と感じている人は少ないのではないだろうか。

私が所属していた、訪問看護事業所を退職していく人も、「給料は良いんだけどね」と言って退職していく人は多かった。

たいていは、職場にも認められた優秀な人材ほど、早期に会社を見限って去っていくことが多いように思う。

それでは、そのような人たちは何を求めて職場を転々としていくのか。

人間の欲求

人は何を求めているのかと考えた時に、基本的に人間も動物であるので、生物としての欲求を追い求めていくと考えている。

人間は動物とは違うと言う人もいるかも知れないが、ほとんどの人間は自分の欲求に支配されているといっていいだろう。

腹が減って目の前に食べ物があれば、食べるし、眠たくなれば寝る。

それが自然な人間だと思う。

なので、大きな視点で考えると大体の人は同じような欲求を抱えている。

マズローの欲求5団解説をベースに解説していきたい。

マズローの5段階
引用:カイゼンベース

マズローの5段階は人間の欲求には5段階あるとしている。

  1. 生理的欲求
  2. 安全の欲求
  3. 社会的欲求
  4. 承認の欲求
  5. 自己実現の欲求

この5つの欲求のいずれかが満たされなかった時に、人は不満を抱え、職場を去っていくのだろう。

逆に言うと、この5つの欲求が満たされるような職場は退職は殆ど出ないのではないだろうか。

退職の理由は何が満たされていないのか

給料面の不満

給料が安いという不満はよく聞くはなしだ。

そのように話す人は給料の本質について理解していない人が多いように思う。

自分の努力のわりに、他の人と同じくらいの金額しかもらえていないというのが不満の理由だと思う。

しかし、給料とはその人ががんばった分払われるものではない。

給料とは、労働力を回復させるために必要な「経費」をもらっているのだ。

その経費は当然、住宅も含まれるし。毎日の食費も含まれる。

家族を養ったり、洋服を買ったりするお金でもあるし、

ストレスが溜まるのであれば、ストレス発散のためにお金を使う分も含まれる。

なので、組織側としては、その人の家庭を維持していけるだけの最低限度の金額を渡すことで十分だと考えている。

これにより、生理的欲求や安全の欲求は満たされるはずだ。

多く渡したところで、たいして意味がない。

収入が増えたところで支出が増えるだけで終わってしまい、職員の満足度は向上していかない。

労働条件の不満

自分だけ仕事の量が多いとか、がんばりやさんに多い悩みだと思う。

頑張ろうが、手を抜こうが、労働力を回復するための経費というものは大きく変わらない。

なので、頑張る人ほど損する仕組みというものがあるわけだ。

正直、これはおかしいと思うけど、実際の仕組みがそうなっているから、どうすることもできない。

現状の仕組みであれば、手を抜いたほうが良い、となってしまうのが皮肉である。

マズローの欲求では、場合によっては安全の欲求であると思うが、自分を蔑ろにされていると感じている人が多いと思う。

なので、承認の欲求が満たされずに退職していく人となる。

人間関係の不満

人間関係の不満は先の2つに比べると割合は少ない。

ここがうまく行かないと、仕事ははかどらない。

職場にいじめや嫌がらせがあるなどというのはもってのほかだが、そのようなことが起きないような仕組み作りは必要だと感じている。

職場のパワーバランスが崩れた時にそのようなことは生じると感じている。

管理職の方が立場が強いという誤った認識から、このようなことは生まれると考えている。

人不足のこの時代、管理者のほうが圧倒的に立場が弱いと感じている。

管理者は部下をもてなすくらいの気持ちが必要だ。

そのようなマインドを持っていない職場では、離職が続出するのは当然のことだと考えている。

理想のチームをどのように作るか

ここからがメインテーマだ。

それでは、人の欲求を満たすような理想のチームをどのように作るか考えていきたい。

大前提として、人が生活していけるのに十分な収益を生むようなビジネスモデルがあること。

病院経営などは、収支が残念な結果になっている所も多いと聞く。

そのような環境では必要最低限の金額を給料として設定することがむずかしい。

組織として、収入の柱を増やすことが必要となるが、そのような発想のある人間はほとんどいない。

結果、職員の待遇がどんどん悪くなる。

必要最低限の給料で十分だ。

そのあたりまではしっかり支払おう。

個人的には、年収350~400万くらいで十分だと思う。

管理職など、ストレスの発散が必要な役職にはストレスを発散する分のお小遣いを、少し上乗せすることが望ましい。

大事なのは給料の金額を上げることではないと思う。

高次の欲求を満たすような仕組みを作ることだと思う。

果たして、自分の職場では、自己実現の欲求・承認の欲求・社会的欲求は満たされているだろうか?

承認の欲求を追い求める

このなかで、管理職の努力次第で満たすことのできるものがある。

「承認の欲求」だ。

その人の存在価値を認めることが、管理職に求められる能力だと思う。

優秀なプレーヤーが優秀な管理職になれないのは、これが理由だ。

プレーヤーとして優秀だった過去が、自分よりもできの悪い部下を認めることができない。

スタッフの「承認の欲求」を満たすことが自分の役割だと理解できているスタッフの居るチームは強い。

返報性の法則により、ひとりの人間が他人の存在を認めた時にその流れがチームに伝染していくのだ。

チームの方針として、そのような考えが共有できているといい。

そのために必要なのは、全方向からの評価システムだと思う。

全方向からの評価システムとは、個人の仕事の評価をその当人以外のすべてのスタッフの評価に依存させることだ。

これにより、特定の人物の嫌がらせはなくなるだろう。

賞与や管理職の決め方も、スタッフ間の評価に依存させる。

そうすることで、人のいいところを見つけるようになるはずだ。

さらに、評価が特定の人物に委ねられることがないため、全員に対して、「やる気を起こさせる」ような対応をするスタッフが増えるはずだ。

仕事ができる人間が管理職になるのではなく、周りの人間が仕事に対して前向きになれるようにするのが、本来の管理職に求められる要素だと思うので、全方位の評価システムは非常に効果的だと考えている。

しかし、導入には非情に高いハードルがあるはずだ。

なぜなら、現状の組織の管理職で部下に嫌われている人間が多いからだ。

そのような人間はまっさきに反対することが予測される。

それに加えて、組織の上層部が、部署をコントロールしたいと考えている場合も難しい。

現場の管理職には、息のかかった人間を据えおきたいがその方法が取れなくなってしまうからだ。

逆に、ハードルが高いからこそ、各スタッフにとっての価値は高まる。

選ばれる方も、選ぶ方も嬉しい事が多い。

自分が選ばれることで、承認欲求が満たされるし、選ぶことも自分の意見が反映されていると感じることができるからだ。

訪問リハで悩むところ

インセンティブ制度を導入するか?

インセンティブ制度は基本的には反対である。

理由は2つある。

収入を増やしたところで、支出が増えるだけで終わることが多いのが一つ。

もう一つの理由は、従業員と患者の利益相反が生じてしまうことがあるからだ。

リハ終了が患者にとって望ましくても、インセンティブが減ってしまうという悩みをスタッフに抱えさせてしまう。

そのような設計にしておくことは望ましくないと思う。

リハスタッフが患者のことをかんげてくれるものだと信じているというのは勝手だが、いちいち考えさせることになり、余計なストレスを与えることにつながる。

私だけ頑張っている

このケースは2つのパターンが考えられる。

1つ目は、件数が周りよりも明らかに多い場合。

2つ目は、書類業務や管理業務が多くそれが自分の評価に反映されていない。

どちらもよくあることだ。

1つ目の場合、インセンティブ制度があれば解消される問題であるが、インセンティブ制度に反対の立場をとっているため別の解決策が必要だ。

件数を調整するのも有効だし。その他の仕事を分担するなど。

全方位の評価システムがあれば、割と軽減されるのではいかと思っている。

2つ目の問題も、今までは管理職の目の届かない範囲で、頑張っていることが原因だろう。

結果、上肢にだけいい顔をする人間が出世していくようなことになっていたと思うが、全方位の評価システムで解決できる。

仕事がつまらない

このケースの場合、生活期の面白さを見いだせていないことが原因だ。

回復期や急性期のように身体機能評価がベースになっていると失敗する。

生活期の場合、身体機能の評価に加えて、生活機能の評価また、強みの評価をしていく必要がある。

そのような視点を部下に伝えることで、仕事の面白みを見出してくれるのではなかろうか。

そのような視点を持っても、面白みが感じることのできない場合は、本人の望むような方向に背中を押してあげることが望ましいと思う。

給料のために、訪問でなくてはならないのであれば、より待遇の良い場所を紹介するのも手だ。

しかし、その場合はスタッフとの関係性が良好でない場合はおすすめしない。

まとめ

職場に対して不満を抱えている人は多いと思う。

しかし、その不満を解消できるような職場は少ないと感じている。

逆に言うと、恵まれた環境には人が集中し、そうでない場所は常に人材不足で悩むという循環があるのだと思う。

人が集まれば良い職場のサイクルに入ることができる。

職員の満足度が高ければ、患者の満足度も高まる。

職場のあり方について、それぞれが考えを深めてみてほしい。