雑記

長寿の家

現在、訪問で関わらせていただいているお家があります。

住宅街の中に立っている、一戸建てのおうちで周りの家に比べて古めかしいような印象を抱くような家です。

担当の利用者さんは、100歳を超えています。

100歳を超えると言っても、もはや、日本では100を超える人は珍しくはありません。

僕も、複数人100歳を超える人のリハビリを担当させていただくような機会がありました。

しかし、100を超える人の体に触れるということには、一種のありがたみを感じます。

その方、仮にAさんとしましょう。

Aさんは、車椅子かベッド上で過ごしています。

食事も、多少汚してしまうことはありますが、自分で取ることができます。

Aさんのベッドは、そのお家の一回にある、居間のなかでも一番日当たりのいい場所にあります。

当然、日当たりのいい場所なので、他の住人もそばに寄ってきます。

Aさんがベッドにいないときは、ベッドの上を占領している事が多いです。

ベッドの上で、昼寝をしている場面によく出会います。

白と黒のもふもふした存在を始めてみたとき、あまりに動かなかったので、クッションかぬいぐるみだと思いました。

その住人、彼は、猫です。

名前をAさんに聞いてみると、「オイ」だそうです。

おいっこの「おい」というような発語ではなく、強めに人を呼ぶときの「おい」というような呼び方です。

オイもかなりの高齢です。

Aさんと同じように年をとっています。

寿命の短さから、猫のほうが老いるのが早いそうです。

もともとは、オイのほうが若い猫だったと思うのですが、みた感じ、Aさんとオイは同じように年をとっているように見えます。

Aさんは、立ち上がるのがやっとです。

オイはまだ歩くことができます。

しかし、もしかすると老いるスピードの差から、追い越していってしまうかも知れないと思っています。

動物を家族に迎えるということは、家族に先立たれるリスクを抱えるということになると思います。

人間同士であれば、健康であれば、順番が前後することはないでしょう。

先に生まれたものから死んでいき、あとに生まれたものが生き残る。

これは、アタリマエのことですが、順番を守ることは必要以上の悲しみを減らします。

Aさんが100まで生きていく上で、自分の友だちや後輩、家族を失ってきたと思います。

みんなが長生きできれば、そのようなことも減るのでしょうが、生きているとそのようなことは起こるものです。

長生きする秘訣とは、耐えることだと、認知症の第一人者の長谷川先生が言っていました。

長谷川先生は日本で一番の認知症専門医だったのですが、現在では本人が認知症となっています。

老いていくということは、奪われていくことにほかなりません。

Aさんの家には、ものがたくさんあります。

今はおそらく使われていないようなものもたくさんあります。

それらのものも、昔は使う人がそのお家に住んでいて、今ではものだけが残っているのだと思います。

一軒家にAさんは住んでいます。

そのお家には、老いていくAさんとオイが住んでいます。

いつまでも元気でいられたらいいのにと誰もが思います。

しかし、ものごとには終わりがあります。

僕は、あの穏やかであたたかい日差しが降り注いでいる、Aさんのおうちが好きです。

どうやって、あの穏やかな環境を保つことができるのかを考えていきたいと思います。