書評

<書評>人の感動をデザインすることを体験できる本『ついやってしまう体験の作り方』

今回紹介する本は本任天堂の企画開発者の玉城信一郎さんのついやってしまう体験の作り方という本です。

私自身、人を感動させるようなサービスを作りたいと思っていたので、人を動かす感情の仕組みを学びたい。そして、どういう時に人の感情が動くのかということについて知りたいと思いこの本を購入しました。

目次

感情を動かすための3つのデザイン

この本は人の感動を動かすことを「体験をデザインする」といっており、「直感」のデザイン。「驚き」のデザイン。「物語」のデザインの3つのデザインから人の心を動かす方法を説明しています。

面白いゲームには必ずこのデザインが組み込まれているそうです。

皆さんも記憶にあるかもしれませんが、面白いゲームは寝るのも忘れてやってしまいますよね。

そのカラクリがこの本には詰まっています。

終わりの部分では、この本は1ページ目から最後のページまで意図のないページはありませんと締めくくられています。

ゲームと同じように飽きが来ずに、一気に読み進めてしまうような本となっており、私自身1ページ目を開いてから最後のページまであっという間に読みに終えてしまいました。

3つのデザインについての説明も、なじみのあるゲームを例に取って説明してくれているので、すぐにぴんときます。

最初の「直感」のデザインはスーパーマリオ。

「驚き」のデザインではドラゴンクエスト。最後の「物語」のデザインではラストオブアビスと風の旅人を例に解説しています。特にスーパーマリオの話では印象に残っている部分があります。

ゲームの目的はどこにある

スーパーマリオは何をすれば勝ちになるのかと言う話です。

スーパーマリオの最初の場面を思い出してください。

画面の左側にマリオがいて、マリオの奥には高い山が、右側にはちょっとした草むらと空には雲が浮かんでいます。

この状況からどのようなルールが伝えられているのか。

本文ではこのルールは右へ行くことが勝ちだと言うルールを伝えています。

本当に右に行くとことが正解なのか、と疑問をいだきながらすすめると敵キャラの「クリボー」が登場する。

敵が登場することで、こっちの方向に進むことであっていたんだ!という小さな喜びの体験が散りばめられたゲームになっているそうです。

そしてこの本自体も左にイラストがあり、右に文章があるような作りになっています。

この本を読むときは、視線を右に送るようなデザインになっています。

しかし、ページは左側に進んでいくので少し読みづらい、というか右のページをついついめくりたくなってしまいます。

この「直感」のデザインは、シンプルで簡単な体験で「直感」させ、それに対しての仮説をつくり、それを検証する。そして、その結果が正しかったときに私達の脳は喜ぶという特性を利用したデザインです。

そのことについては後に読み返して気づいたのですが、2回目にも学びがあります。

2回目も楽しめる仕組みがあるというのは、面白いゲームの特徴の一つでもあります。

この2回目も楽しめる仕組みは、「物語」のデザインで解説されているので、興味がある方は本文を読んでみてください。

まとめ

ゲームがどうしてこんなに面白いのか。ゲームの目的は何なのか。どうしてみんなに愛されるのか。そんなことを伝えてくれます。

この本を読むと2回目をすぐに読みたくなります。

ゲーム好きの方や企画やマーケティング、開発、デザイン、プロデュースの担当者の方には本当に必要なことがちりばめられた本だと思います。

本の背表紙には、「商品やサービスの良さや楽しさを伝えるよりも、まずは商品やサービスとの関わり方が直感的にわかることを優先すること。これこそがユーザに寄り添うことの本質だと考えます」と書かれた文がとても納得できるような内容になっています。

良さや楽しさを伝えるためにどうしなくてはならないのかそんなことを考えさせられます。

ぜひ皆さんも読んでみてください。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。楽しんでいただければうれしいです。