書評

【書評】医療人が転職を考えたらはじめに読む本「医療・介護職の新しいキャリアデザイン戦略」

今の職場につとめていていいのだろうか。

なんとなく働いているが、今後自分のやりたいことがわからない。

医療職・介護職のキャリアを考える上で自分の中の考えの軸を作ってくれる本。

本は薄いが、内容は要点をおさえており、普段本を読まないような人間でも割と読みやすい本だと思う。

自分のキャリアについて悩む療法士がいたなら、今の僕はこの本を紹介すると思う。

本を知ったきっかけ

僕がこの本を知ったきっかけは、埼玉で開催されたセミナーだ。

通常の段取りとは異なり、クラウドファンディングで募集されたセミナータイトルは、「君の未来の作戦会議」

このセミナーの講師の一人に、OTの細川先生という人がいた。

セミナーに参加するかどうかを迷っていた僕は、この人のことをあれこれと調べるのだが、経歴が僕の知っている療法士とは大きく異る。

僕の印象では、臨床をやっていない療法士であるが、それ故に広い視野を持ってキャリアについて考えていけるのだろうと感じた。

その経歴の一つにPOSTの立ち上げや、病気の影響で体が動かなくなる後輩のためにビジネスを立ち上げるなどしている。

こんな人なかなかいない。

細川先生は療法士個人に対してコンサルもおこなているので興味を持つ人はそちらも参考にしてみるといいだろう。

その細川先生のセミナーの内容が、この本の内容をベースに組み上げられていると知り、ひとまず予習することに決めたのだ。

キャリアの築き方が転職以外もあることを示してくれる

自分のキャリアについて考えるとなると、多くの人は転職を考えると思う。

人によっては、整体院・訪問看護の起業を考えたり、全く別の職種への転職も考える人が多いと思う。

しかしながら、この本で最初に提案されているのは、今の職場にいながら自分のキャリアを積み上げていく方法である。

人は安易に環境を変えたがる。異なる刺激を求めていると言ってもいいだろう。

しかし、取り組むべきなのは安易に変える方法なのではなく、地道に取り組んでいくことだ。

今の職場を思い返してみてほしい。

なにかしら、職場の問題点が思い浮かぶだろうか?

おそらくあなたが考えている問題点は他のだれかしらも感じている問題点だと思う。

その問題を解決できないかを考えてみてもらいたい。

なにかしら、対策が思いつくと思う。しかし、その対策は地道な努力が必要となるのではないだろうか?

あまりにも地道すぎて取り組む人は存在しないため、その問題点は放置されていると考えていいだろう。

それを解決するのが一つのキャリアの築き方だと思う。

そもそもキャリアってなんやねん

ここまで読んだときにふと気がつくと思う。

「キャリアってなんやねん!」

この本では、キャリアとはなにかと解説してくれている。

今、友人に本を貸しているので手元にはないが、僕の記憶が正しければ、こんな意味合いだったと思う。

キャリアとは、自分が何をできる人かはっきりさせていくことである。

つまりキャリア・デザインとは自分が何をデキる人なのかをはっきりさせていくことだ。

自分が何ができるかはっきりと言えるか?

「理学療法?」「関節手技?」

それ以外ではっきり言えるだろうか?

今の職場でやってきたことは?その組織に貢献したことはあるか?

よく、たとえ話で、あなたの仕事はなんですか?と聞かれたときに自分の会社名を答える日本人が多いという。

「あなたの仕事は?」

「〇〇会社です!」

みたいな。

昔はそれくらい、会社と自分の関係性が密接で、仕事とは会社そのものであるというような人もいたのだろう。

それを考えると、療法士は「リハビリテーションで病気の人が日常に戻る手助けをした」とはっきり仕事を答えられる珍しい職種であるが、この答えをできる療法士は、今や日本に10万人以上いるのである。

コモディティ化が問題

リハビリテーションを生業とすることが今や希少性はない。

つまり、「コモディティ化」だ。

コモディティとは日用品と言う意味合いだ。

つまり、消耗品で替えがいくらでもきくもののことである。

この概念を大きく取り上げている本は、瀧本哲史先生の「僕は君たちに武器を配りたい」という本だが、この本の引用文献にも取り上げられている。

僕は君たちに武器を配りたいposted with ヨメレバ瀧本 哲史 講談社 2011年09月楽天ブックスAmazonKindleエッセンシャル版も出ている。 

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版posted with ヨメレバ瀧本 哲史 講談社 2013年11月15日楽天ブックスAmazonKindle理学療法やリハビリテーションを自分の武器とするにはもう弱い。 

資格が武器となる時代はもう終わったのだ。

資格があれば仕事に困ることはないというのは、終わったということを自覚しよう。

資格は今やスタートラインに立つことでしか無い。

であるのにも関わらず、資格取得の成功体験を忘れられず、同じようなことを繰り返してします。

自分の武器を増やすために資格取得を目指していると話す人がいるが、国家資格をもっているなら、民間の資格を取ることが自分のキャリアを広げることにはつながらないだろう。

ドラクエでたとえるなら、「メラゾーマ」を覚えているのに、「メラ」を覚え直しているようなもんだ。

どうせ取るなら「ヒャド」とか「バイキルト」とか違うジャンルにするといい気がする。

知識を得ることは、重要だが資格を取得することはそれほど重要なことではないと覚えておこう。

せいぜい、履歴書の空欄が減るくらいに認識しておくといい。

この本で学べたこと

この本で学べたことは、自分のキャリアをどのように積み上げていくかという思考法が手に入ることだと思う。

これから、どのようなキャリアを積むかという考えを持つことは、自分の進むべき道を考える上で道標になってくれることだろう。

本を読むのが苦手な人にこそ読んでほしい。

過去のキャリア本の重要な要素を、医療・介護の人種向けに落とし込んで書いている本なので、非常に読みやすい。

転職に悩む人に是非オススメしたい一冊である。

医療・介護職の新しいキャリア・デザイン戦略〜未来は、自分で切り拓くposted with ヨメレバ三好 貴之/細川 寛将 ロギカ書房 2019年10月25日楽天ブックスAmazonKindle