書評

<書評>今までの価値観を疑え『ニュータイプの時代』

「ニュータイプの時代」

タイトルだけ見ても、一体どんな内容が書かれている本なのか全く不明である。

そんな謎の本をどうして僕が手にとったのかというと、ネットラジオのVoicyでお笑い芸人で絵本作家の西野亮廣さんが紹介していたからだ。

西野さんは、いろいろなことに挑戦されたり、ビジネス書を出版していて、テレビにはでていないが、新しい風を吹き起こしている人だと思う。

僕は、西野さんの本を読んだりラジオを聞いたりすることは多々あるのだが、この人はなんかしらの広告は全くしない人なのである。

ラジオの中でも、自分がおすすめするということはかなりの人数の人が同じように購入することになるとはなしており、お金を積まれてくらいじゃ広告なんてしないよと常日頃から言っていたのである。

そんな人が、おもむろに紹介していたのがこの本である。

普段紹介しない信頼度の高い人が面白いと紹介している本があったらそりゃ買ってしまいますよ。

著者は山口周さん

この本を書いているのは山口周さん。

本の著者紹介には、独立研究者、パブリックスピーカー、著作家などよくわからない肩書が多い人だ。

仕事の一つとして、著作家があげられているように、著作物は色々あるようだ。

前作の「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」というは、2018年のHRアワードの最優秀賞を受賞している。

今回紹介する本の中でも、前作のことは紹介されており、内容としては、以前紹介した『ハイ・コンセプト』という本に近いのではないかと思う。

過去の正解は現在の不正解

この本の内容は、はじめに現在の世の中がどのような傾向があるのかを踏まえた上で、新しい価値観を備えた人が(ニュータイプ)どのような人かを解説してくれる。

本書のはじめにでも紹介されていることだが、過去の正解を導くタイプ(オールドタイプ)は20世紀では活躍できたかもしれないが、21世紀では通用しなくなってしまう。

正解を導くタイプに価値は失われ、問題を生み出すタイプにこそ価値が生まれていくと言っている。

これは、問題児に価値があるということではない。(ニュータイプは過去の感が肩だと問題児に該当しそうだが)

問題を定義できる人が求められると言っているのだ。

これは、正解を出すことが世の中の技術の向上によって、誰にでもできるようになってしまったからだ。

わからない漢字を調べるのであれば、感じ博士を探すよりも電子辞書を使ったほうが良いし、目的地への道を調べるのであれば、タクシーの運転手に聞くよりも、ナビを設定するほうが正確だ。

このようなことから、正解を導くことの価値は、かなり少なくなっている。

オールドタイプ ニュータイプ
正解を探す 問題を探す
予測する 構想する
生産性を上げる 遊びを盛り込む
ルールに従う

自らの道徳観に従う

1つの組織にとどまる

組織感を移動する

綿密に計画し実行する

とりあえず試す

奪い、独占する

与え、共有する

経験に頼る

学習能力に頼る

ニュータイプの時代より引用

6つのメガトレンド

この本の内容を理解していく上で、世の中の理解も欠かせない。

現代がどのような時代化を理解することで、過去の価値観がどうして通用しなくなってきたのかを理解する必要があるからだ。

本書では、世の中の変化を6つのメガトレンドとして紹介している。

  1. 飽和するモノと枯渇する意味
  2. 問題の希少化と正解のコモディティ化
  3. クソ仕事の蔓延
  4. 社会のVUCA化
  5. スケールメリットの消失
  6. 寿命の延伸と事業の短命化

要するに、過去はたくさんのものを生み出したり、問題を解決することで豊かになれたが、現代では、ものや正解はたくさんあり、それらの価値が低下してきたということになる。

そして、世の中は変化が激しい時代になり、個人の発信力も増えることで、一つの組織にとどまることのメリットも少なくなっている。

そのようなトレンドを理解した上で、ニュータイプとはどのような人を指すのか、21このポイントに分けて紹介されていく。

ニュータイプとは

ニュータイプとはどのような人のことを指すのか、大枠だと7つに分けて解説されている。

  1. 問題解決から課題設定へ
  2. 「役に立つ」から「意味がある」へ
  3. 論理偏重から論理+直感の最適ミックスへ
  4. ローモビリティからハイモビリティへ
  5. 予定調和から偶有性へ
  6. ストック型学習からフロー型学習へ
  7. 権力型マネジメントから対話型マネジメントへ

この7つを理解できれば、ニュータイプがなぜそのような行動様式を取るのかを理解できるはずだ。

先行きの見えない未来、無いが起こるかわからない未来に対して柔軟に対応していける人材こそ、ニュータイプと言えるのだろう。

その中でも特に印象に残っていることを2つ紹介していきたい。

ルールより自分の倫理観に従う

「わがまま」と聞いてどのようなイメージを持つだろうか。

大半の人はいいイメージを持たない。

子供の頃は、わがままに過ごせたとしても、社会性を身につけるにつれて、「わがまま」は身を潜めていく。

しかし、「わがまま」は最高の美徳だと、ノーベル文学賞作家のヘッセは紹介しています。

社会生活を送る上で、重要なのはルールを守ることです。

そのような前提がある中で、「わがまま」に過ごすことは最も嫌われてしまいます。

しかし、決められたルールに従うということを無条件に良いことと考えると、ルールさえ守れば良いというような価値観がもたらされるというのです。

この価値観は、オールドタイプの価値観とされ、過去の不祥事を引用しています。

新しい価値観では、自分の中の「正しさ」を信じ「わがまま」に行動することが必要だということになります。

ルールが整っていない分野が広がる中で、各々の正しさを重んじることにより、リスクを抑え、カタストロフィを回避することに繋がります。

経験が重しに

過去の考えでは、経験を積むことは価値のあることと考えられていました。

しかし、本書では、変化の多い時代では、過去の経験は重りにしかならないとぶった切っっています。

過去の経験が、成功へと結びつく例は少なくなっており、現代の正解は、いろいろなことをたくさん試してみて、その中のうまく言ったものが正解だと解説しています。

なにか行動を起こす上で、じっくりと計画を建てることは、変化の多い時代では、効果が薄く(綿密な計画を立てたあとには、世の中が変化してしまうことがある。)、それよりもとにかく試してみることの重要性を説いています。

そのような攻略法の場合。

過去の経験は、ほとんど意味がないどころか、何かを試すということにあたってその障壁にしかならないというのは、今までの価値観とは180度異なるような概念だと感じています。

まとめ

おそらくこの本で解説していることは、時代の先をいっていることだと思う。

この本で言う、ニュータイプの行動様式の通りに、行動をするとするならば、ちょっと前であればかなりの顰蹙を買うことになっていたと思う。

しかし、現代活躍している人の行動様式を考えてみると、ほとんどの人が、ニュータイプの人であると言えると思う。

これからの時代は、ニュータイプが珍しがられるような時代ではなく、むしろそのような形の人であふれるような時代になっていくと感じている。

オールドタイプでは生きていくことが大変になるし、ニュータイプであったとしてもそのような行動様式の人が多く、競争が生まれていくだろう。

それだけ世の中は複雑で、不安定になっていくんだと思うのだが、自分がどっちで行くのかを決めて行動していけば、何らかの形になっていくと思う。

自分の価値観を広げたいというような人にはおすすめしたい一冊である。