書評

<書評>起業よりM&A『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』

この本がでたのは、2018年4月。

発行部数は10万分を超える。

この本は、「起業するよりもM&Aをしろ!」というメッセージが詰まっている。

全員が全員M&Aに成功するわけではないが、この本の著者の三戸さんはM&Aのプラットフォームも運営している。

なので、金持ち父さんのキャッシュフローゲームと本の関係のような本なのかもしれないが、自分の選択肢を増やしてくれるような本だと思う。

やみくもに起業して失敗するなら、自分たちのプラットフォームにお金を落としてもらって、なおかつ、うまくいったら良いね。というような面もあると思う。

しかし、本書をもとに行動を起こした人は、現実を大きく変えている人がいるのではないかと思う。

それくらい、アイデアと行動指針に富んだ本だと思う。

今回は、「サラリーマンは300万で小さな会社を書いなさい」について解説していきたい。

なぜM&Aなのか

この本は、40~50代の大手企業で働くさらいリーマンに向けて書かれている。

なぜ、その年代にこのような本を書いたのか。

それは、人生100年時代で、かかっていた橋を外された世代が、その年代だからだろう。

今までは終身雇用の時代で、60代以上はなんとか逃げ切れたのかもしれない。

しかし、団塊の世代が引退して、終身雇用制度が終了した世の中では、今後同じように逃げ切ることは難しくなっていく。

人生100年を生きるためには、働かなくてはならないが、従来の選択肢だけだと、会社にしがみつくしか方法がなかった。

しかし、この本で解説されている方法を使うことで、新たなキャリアを開くことができるという希望を、40代や50代に与えているのがこの本の特徴だ。

当然誰しもがうまくいく方法ではないと思う。

しかし、歳を重ねるにつれて、労働力の価値が落ちていくのを見越すのであれば、自分の労働力を売るのではなくて、自分の事業を持つという方法は有効な攻略法だと感じている。

起業よりもM&Aの理由

自分の事業を持つとなると一番最初に考えられるのは起業だろう。

自分の事業をイチから始めるのだ。

よく、引退後はパン屋を、だとか、そばやをやりたいというのが、それに該当する。

しかし、本書ではそれは絶対やめておけと言っている。

ほとんどが、討ち死にするのが関の山だからだ。

元手が亡くなるだけです目がいいが、それ以上に借金を抱えてしまうようなケースも多い。

飲食店の起業だけはやめておけ!

では、どうすればいいのかということで、M&Aだ。

スタートアップの生存率が0.3%という低い数値であるのに対して、5年過ぎた会社の生存率は毎年90%を誇る。

その数値は、それだけいろいろな危機にさらされてなお、生き延びてきた会社だからだ。

考えられるリスクはすでに取り除かれていると本書では解説されている。

ちなみん、スタートアップの5年生存率は42%。10年生存率は23%。

5年から10年にかけて割合が半分になっている。

しかし、毎年10%づつ減っていくとこのような数値になる。

数字上生き残る可能性は、高いように思えるかもしれないが、5年過ぎた会社でも、10%は消えていくということは忘れないほうが良いだろう。

M&Aの場合、スタートアップと異なり、始めた当初から売上を計上することが可能だ。

ある意味、ある程度の予測が可能となる分野なのである。

スタートアップのギャンブル的なものとは大きく異る。

別の角度で見るとスタートアップを一度でも経験しておくというのは、長い目で見るとかなりプラスになるのではないかと感じた。

大企業のサラリーマンだからこそ生きる

この本の読者の層としては、大企業で勤め続けている40代や50代のサラリーマンをターゲットとして書かれている。

サラリーマンの業務内容がマニュアル化しており、つまらないもののように感じるかもしれないが、それは間違っていると筆者は言う。

大企業のOJTは素晴らしいものであり、業務が体系化されたものを学ぶことのできる素晴らしい仕組みである。

その積み重ねた、マニュアルを見に付けて、新しい会社でそのまま改善していくだけで、多くの中小企業は更に伸びていく可能性がある。

大企業で働く人間からすると、まじかよ!と思うような非効率が中小企業では行われている。

当たり前に行っていたことを、当たり前に行うだけで中小企業が良くなっていくということには驚きだが、これは、20年、30年大企業で積み重ねたものがある人を前提に書かれている。

何もない人間が、ただ中小起業を買ったところで、業績を改善していけるとは思えない。

しかし、大きなグループでのやり方をパクって地方に持っていくという方法は有効な方法であると感じた。

中小企業の実情

では、どのような中小企業を買うべきだろうか。

具体的な話は、おそらく続編の会計編にかかれていると思うが、進めている方法としては、いままで関わりのあった関連業種をすすめている。

しかし、売却するような事業は、きっと業績が良くないのでは?赤字なのではと思う人も多いだろう。

実情は、後継者不足であり、事業を続けていくのが困難というのが多い。

黒字倒産はこうして生まれるのだ。

日本には、中小企業が380万社ある。

日本の就業人口は6500万人だから、実は16人に1人が社長だったりする。

そのなかの、66.5%が後継者不足に悩まされているのだ。

数字をまとめると、380万社ある中小企業のうち、250万社が後継者不在。社長が60歳以上の会社が200万社あり、そのうちの100万社が後継者不在となっている。

これは、チャンスだろう。

いままで、大企業で働く40代や50代は自分の身の振り方について悩みが絶えなかったと思うが、この本を読むだけでその世代の未来は明るくなると思う。

具体的なアイデア

本書では、M&Aを進めていく上で具体的な方法が解説されている。

そんな方法アリかよと思うような内容が多いので、実際に読んでみてほしい部分だ。

例を一つ紹介すると、会社を購入する際に、会社の中身を見極める方法について書かれている。

  • 帳簿に書かれていない負債はないか
  • 保有資産は、実態価格を反映しているか
  • 回収できそうにない売掛金はないか
  • 在庫はきちんと帳簿通り存在するのか、不良在庫はないか
  • などなど

このような具体的な項目が、13項目挙げられている。それもあくまで例とのことで実際に把握するには、もう少し勉強がいつようだと感じた。

そして、もう一つ大事なことが、会社を買うためのお金をどのようにして工面するのかということについても書かれている。

自分の身の丈にあったところからスタートする人もいれば、融資を引っ張ってきて始める人もいる。

どちらでも構わないが、不必要なリスクを追うべきではない。

頭を使うことで、第三の選択肢的な方法があるということを教えてくれる。

将来に不安のある中年こそ読むべき

この本を買う前には、M&Aについての理解を深めたいという思い出購入した。

どのような会社を買うべきか、買うための具体的な方法はどうなっているのか、実際に買った人の紹介など。

この本一冊で、解決できたところもあれば、足りないと感じる部分もあった。

しかし、思わぬ収穫としては、M&Aの背景にある世の中の流れ、中小企業の実情など知ることができた。

総論として勉強するには十分な内容であった。

各論としては続編を読み進めていきたい。