書評

【書評】人に伝える『20歳の自分に受けさせたい文章講義』

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20歳の自分に受けさせたい文章講義posted with ヨメレバ古賀 史健 星海社 2012年01月26日楽天ブックスAmazonKindle

今回紹介する本は「20歳の自分に受けさせたい文章講義」という本です。

ブロガーの人が紹介していたり、ネット芸人のサウザーさんが紹介している本です。

この本の素晴らしいところは、感覚的に語られがちである文章の技術論を、素人でもわかるレベルに棚卸しして書いてくれているところです。

どのような文章が、読みやすいかを解説してくれている「この本自体」が、文章の教科書となるような一冊です。

目次

はじめに

この本の「はじめに」で語られている内容は、日本人は文章を書く練習を今までしてきていないという事実です。

いやいや、作文とか学校で書いてもらって添削してもらったじゃないか。

其のような主張もあると思います。

しかし、学校の作文や読書感想文では「書き方指導」ではなく、形を変えた「生活指導」になっていると作者は主張しています。

文章の構成などについて指導するのではなく、どれくらいお利口な感想がかけたのかという点を評価しているものだというのです。

この話を聞いて、僕はたしかにその通りだと感じました。

入試試験で、小論文などやりましたが、僕は小論文が苦手でした。

小論文の授業は学校ではなかったのです。

自分で勉強したり、学校の先生に書いてみた小論文を添削してもらったりしてみましたが、いまひとつ何をすればいいのかわかっていませんでした。

しかし、この本を読むことで、文章の目的や構成の方法など、学生の頃の自分でもすっと理解できたのではないかと思います。

文章とは気持ちの翻訳である

いちばん最初に、文章を書くということはどのような行動であるかということについて書かれています。

文章とは気持ちの「翻訳」である。

これは、頭の中にぐるぐる渦巻く感情を言葉に翻訳したものだというのです。

なので、文章を書くときには、感情を言葉のレベルに落とし込むという意識をもつといいようです。

文章の内容は、頭の中にあります。

問題なのはそれをちゃんと翻訳できないところにあるのです。

翻訳の練習として解説されれいるのは、

①聞いた話を「自分の言葉」で誰かに話す。

②「言葉でないもの(地図や絵、写真)」を言葉にする。

この方法が有効です。

論理的な文章をつくる

文章を構成する上で、重要なのは論理的な文章にすることです。

論理的な文章はリズムもできますし、読者を置き去りにせずにすみます。

それでは、論理的な文章とはどのような文章なのでしょうか。

接続詞を入れたときに、きちんと流れや辻褄の合う文章のことです。

AならばB。BならばC。なのでAならばCです。

というように段階を追って説明することが重要です。

いきなり、AならばCです。だけでは、読者を置き去りにしてしまいます。

素人でもわかるくらい、途中の要素を正確に説明することが、論理的な文章を構成することに繋がります。

構成は映像で捉える。

文章の面白さは「構成」で決まります。

文章の構成を映像で捉えるとイメージしやすいです。

導入は、遠くの映像から客観的に描く。

本論は、主観的な映像から、主観を描く。

結末は、客観的な視点からまとめていく。

それぞれの流れを映像でイメージすると、構成が整いやすくなります。

右手にペンを、左手にはさみを

推敲とは、自分自身との対話となります。

過去の自分はこのような文がいいと思っていたけど、今の自分が読んでみるとちょっと変かな?

このように自分と会話していくことです。

自分と対話した上で、いらない部分や、長い部分は分断したり、消してしまったりしましょう。

そのように、書いて、カットするという行動を続けていくことで、より良い文章を作成できるようになっていくはずです。

まとめ

この本を読むと文章を書きたくなります。

それくらい、この本は優しく、何をすればいいのか明確に教えてくれる本です。

しかし、実際に実行してみる文章の難しさを感じることとなります。

この本は文章を書く人間の道標となってくれるような本です。

文章を書かない人は、今後減るでしょう。

文章を書く人が増えると言っても、このように理論に裏付けされた文章を書ける人というのは多くないと思います。

つまり、論理的に文章を書く能力は自分にとっての財産となるはずです。

ただ書くことではなく自分の能力を高め、財産にしたいという人には、この本がおすすめです。

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