理学療法

<文献紹介>延髄外側梗塞によりしびれが出現した症例に対する感覚運動イメージニューロフィードバックシステムの効果

片山 脩、兒玉 隆之:延髄外側梗塞によりしびれが出現した症例に対する感覚運動イメージニューロフィードバックシステムの効果

 理学療法学 2019,vol 46,No.2に掲載されていた文献で面白いものがありましたので紹介させていただきます。

 愛知県の渡辺病院の片山先生の文献で「延髄外側梗塞によりしびれが出現した症例に対する感覚運動イメージニューロフィードバックシステムの効果」というものです。

 中枢性の麻痺によるしびれはなかなか改善しづらいイメージがありますが、その介入方法の一例の紹介となっています。

 

 文献では、「能動的な運動のイメージや意図と受動的な感覚情報に乖離が生じるとしびれなどの異常感覚が惹起される」という報告に着目し、イメージニューロフィードバックシステム(imagery Neurofeedback-based multi-sensory systems:以下、iNems)を提案しています。iNemsとは脳周波数から運動イメージを算出し、それを手の場所に設置したタブレットの画像に反映させるというものです。

 iNemsはミラーセラピーに比べて、画像に映る手が、自分の麻痺した手の動きだと信じやすいものとなっているのがミソです。

 介入方法は、iNemsを10分間、週2回、6週間継続して行いました。

 介入結果はしびれのNRSに変化は見られませんでしたが、しびれに対する破局的思考が改善し、麻痺側上司の使用頻度および動作の質が向上しました。さらに安静時および運動イメージ時の脳波活動にも変化を認め、麻痺側上肢のボディイメージにも改善が見られたようです。

 しびれ自体には変化は見られなかったそうですが、介入前には自分の手として認識できていなかったものが、活動レベルまでに変化させることができたのは非常に有意義なことだと思います。障害があっても、活動レベルに持っていけるというのがとてもいいリハビリテーションだと感じました。

 細かい内容や、実際のiNemsの写真などは雑誌に乗っておりますのでぜひ、本文を読んでみてください。