理学療法

〈研修レポ〉日本訪問リハ協会 認定基礎研修 Part1

今回は日本訪問リハビリテーション協会主催の認定基礎研修会に参加してきました。
この研修会は日本訪問リハビリテーション協会の認定訪問療法士という資格を取得するための必須研修になります。(日本訪問リハビリテーション協会の認定療法士についてはこちら
場所は千代田区の損保会館です。大会議室での講義でしたが、全てのテーブルが三人がけになるほどの満員でした。

この研修会は、2日間に渡って開催されます。1日目のテーマは、①訪問リハビリテーションにおける医療・介護保険制度の理解リハビリテーションマネジメント論訪問リハビリテーション総論マナーとインタビューです。おもに訪問リハビリテーションの制度的な理解や総論についての確認になります。ちなみに2日目は①リスク管理②他職種連携の考え方と方法③ワークショップ(訪問リハビリテーションセラピストとして考えるべき3つの視点)。こちらは、実務的な内容が多くなっているように思えます。

制度のお話

午前中の一コマ目はケアライフ新潟の三村健先生です。三村先生は先日行われた、訪問理学療法学会の大会長でもありました。
制度の話です。制度を理解せずに算定はできません。また、制度の不理解のために返戻(へんれい)になってしまっては、母体の組織が傾いてしまいます。

押さえておく要点は医療保険介護保険か。訪問リハビリ訪問看護か。以前の訪問リハビリ協会の研修(基礎から学ぶ訪問リハビリテーション)でも取り上げられていた重要なポイントです。

今回は、その制度が厚生労働省のどの組織によって、制定されているのかという内容も触れています。
医療保険は厚生省内の保険局。その中で議論する会議が中央社会保険医療協議会中医協)。介護保険は厚生省内の老健局。会議は社会保障審議会社保審)介護給付費分科会です。先日、中医協から出た報告がりPTの中で話題になりましたが、講義の中では、社保審の方が訪問リハビリテーションの現場への理解があるような印象を受けました。

もう一点、取り上げられたトピックスが、訪問サービスで屋外に出てもいいのか。
制度の話になると、毎回話題にあがる内容ですよね。

制度上では、

(6)訪問サービスの行われる利用者の居宅について

訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーションは、介護保険法(平成9年法律第123号)第8条の定義上、要介護者等の居宅において行われるものとされており、要介護者の居宅以外で行われるものは算定できない

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年老企第36号)

となっております。

ところが、東京都の介護給付Q&A 平成21年5月1日では、

Q25屋外でのリハビリは訪問看護のサービスとして認められるか

A 訪問系サービスは要介護者の居宅において行われるものであり、要介護者の居宅以外で行われるものは算定できない。
ただし、居宅から屋外にかけて実施するリハビリテーションが下記の要件を満たす場合のみ、例外的に訪問看護サービスとしての算定が可能である。

①自立支援としての利用者の生活機能の維持・向上を図ることを目的として実施するものであること。
②医師の具体的支持等、医学的判断に基づくものであること。
③適切なケアマネジメントのもとで作成された訪問看護計画に位置付けられていること。

となっております。
自治体によって差もあると思いますが、東京都では指示書とケアプランに屋外の必要性が記載されていれば問題ないようです。

制度の改定によって、プラスの面もマイナスの面もありますよね。

午後の一コマ目は調布東山(とうざん)病院リハビリテーション科の柴田安紀子先生で、テーマは「リハビリテーションマネジメント論」です。
リハビリテーションマネジメントについては、基礎から学ぶ訪問リハのPart2でも紹介しています。
SPDCAサイクルの話から事例紹介まで盛りだくさんの内容でした。なかでも、「終了」と「修了」。「共同」と「協同」と「協働」。「多職種」と「他職種」の用語のはなしは普段意識していなかったので勉強になりました。

3コマめに総論

3コマ目は日本訪問リハビリテーション協会の会長でもある医療法人社団 輝生会 本部 教育研修局 在宅リハ・ケア研修部長の宮田昌司先生です。テーマは「訪問リハビリテーション総論」です。

本来なら一番最初にやるテーマだったのでしょうか、今日は時間の関係で3コマ目になったそうです。

講義の目的は、生活期リハビリテーションの意義と在り方について理解すること。また、在宅支援としての訪問リハビリテーションの役割その基本的な考え方視点を学ぶことです。

専門職として、困っている人をなんとかしたい。しかし、治療法に偏ったサービスの提供になっていないでしょうか?それで、はたして活動と参加につながるのか。そういった問題提起から始まります。

なんとかしたいという思いが先走ってしまい、本当に利用者のためになるようなサービスの提供になっているのか。それとも、セラピストの自己満足の世界になってしまうのか。

リハビリテーションが医療サービスとして提供され始めた頃であれば、そのような形でも問題なかったのだと思います。しかし、リハビリテーションの形も進化し続けています。

訪問リハに求められるのは、国際機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health、以下:ICF)のなかで急性期・回復期リハから抜け出し、生活期リハを提供することです。

出典:国際機能分類をもとに厚生労働省老健局老人保健課が作成した資料

いきなり、そのようなことを言われてもピンときませんよね?

急性期や回復期で求められるのは、心身機能へのアプローチです。しかし、発症から時間がたってしまうと、心身機能の伸びしろにも限界があります。そのような中で、健康寿命を過ぎた高齢者が寿命を迎えるその日まで、生き生きとした生活を過ごせるためにはどうしたらよいのでしょうか。そのためには、役割や生きがいを作るといった、活動と参加をベースとした生活期リハの提供が必要になるというのが最近の傾向です。

医学モデルと生活モデル

生活期リハの理解を深めるためには、医学モデル生活モデル(最近では、その先にストレングスモデルというものもでています)の考え方を押さえておきましょう。

いままでの医学モデルでは、解決すべき課題として「疾病(生理学的異常)」があり、それを治癒する正常に戻す)ことが治療の前提としてありました。しかし、その場合、医学的には解決できない後遺症などを有する方に足して限界がありました

しかし、生活モデルでは、解決すべき課題として、「その人らしく生活を送る上での困りごと」があり、それを解決していくという方法になっています。

生活期においては、治療がある程度済んでおり、あとはその人らしさを支援する場面が多いと思います。

その際のアプローチ方法は、生活再建の解決策および支援サービスを提供するというものです

つまり、訪問リハビリテーションに従事するセラピストは、機能訓練だけでは不十分だということです。

協会では、訪問リハビリテーションに求められる機能を4つ上げています。

  • 生活場面において心身機能の改善を行う(Therapy)
  • 生活環境との心身機能との関係調整を行う(Coodination)
  • 生活活動の活性化と社会参加を促す(Guidance)
  • 本人・家族や多職種への評価・助言を伝え、協働してリハビリテーションを促進する(Management)

この4つの機能を専門的な評価(生活予後の見立て)の上で提供することが私達の役割になります。

一日目最後は社会福祉法人晴山会 訪問看護ステーション飛鳥晴山苑の浜田創先生による「マナーとインタビュー」についてです。

在宅の場に出るということは、利用者の生活のスペースにお邪魔することになります。人によっては、プライベートな場に踏み込まれたくないという人もいる中で、社会人としての常識は押さえておきたい点です。

また、生活期モデルにおけるリハを提供するためには、その人の環境因子や個人因子について知っておかなければなりません。そのために求められるのは、利用者との信頼関係を気づきあげるコミュニケーションの方法であり、適切なインタビューです。

「話し上手」とは「聞き上手」

その一言に集約されますが、聞き上手になるための技法を紹介、またデモを行います。

デモでは、あえて話しづらい環境で話をするなど、聞き手によってどれだけ話しやすさが変わるのかを体験することができました。

一日目は、10:30から18:20までと長丁場ではありましたが、訪問セラピストとしてベースにできる考え方を学ぶことができました。

個人的には、協会の会長である宮田先生の、静かながらも経験と熱意に裏打ちされた講義を聞くことができたのは、貴重だったと思います。

訪問にかかわるかたはぜひ一度協会の講習会に参加してみてはいかがでしょうか?

それでは、明日も頑張ってきます。

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