理学療法

〈研修レポ〉日本訪問リハ協会 認定基礎研修 Part2

昨日に引き続きまして、本日も日本訪問リハビリテーション協会主催の認定基礎研修会に参加しています。

今日のテーマは、一コマ目に「リスク管理」二コマ目に「多職種連携の考え方と方法」そして、午後はワークショップという構成になっています。

合計12時間を超える研修となったわけですが、12時間が短く感じるほどあっという間の研修でした。

目次

リスク管理

最初の講義は奈良学園大学 保険医療学部 リハビリテーション学科 大浦智子先生による「リスク管理」です。
どのセラピストもリスク管理は入職した時に徹底的に教え込まれるのではないでしょうか。

今回は、基本的なリスク管理の総論と、組織としてどのような仕組みでリスク管理をしていくかということについての講義になっていました。

病院と異なり、在宅でのリスク管理は少ない時間で多くの情報を得なくてはなりません。
その際に、ただ見るのではなく、気づくことのできるポイントを抑えていく必要があります。

ポイント

  • 家の周りは?家の外観は?
  • 玄関の出入りは?家の中の動線・家具配置は?
  • 居室、トイレ、浴室は?
  • 居室の温度、湿度、明るさ、風通しは?
  • 家族の表情は?
  • などなど、

意識することで診ることができます。

セラピストの場合、自分の関心のあるところには、意識しなくても気がつくことができるのですが、苦手な分野の場合だと、なかなか目が向かないところがあります。そういったところにも気がつける努力が必要です。

生活環境を見る際にもリスク管理は必要です。病院と異なり、それぞれの生活の場で、それぞれの動作や環境を捉えていく必要があります。
抑えていくポイントとしては、

  • 本人の基本動作の理解(活かせる能力とリスクの予測)
  • 環境整備のポイント(ベッド、マットレス、移乗、床等)
  • 衣服の種類(家の中と外出時の差)

他にも利用者さんが自宅でどのように過ごしているのか、時間の流れとともに抑えておくことが必要です。

普段の生活や状態を押さえておくことで、何かあった時に違いに気がつけます。

多職種連携

二コマ目は、多機能型重心児デイサービス どりーむずの杉下由貴先生による「多職種連携の考え方と方法」です。
杉下先生は福島県いわき市で、地域に関わられて5年になるそうです。ですが、話の内容や築き上げてきた関係や地域など、5年とは思えないほどの話の内容に厚みがありました。

正直、そんなこともできるのかと驚かされる内容でした。
いわき市の取り組みはホームページを参照していただくとして、私たちに求められるのは、どのようにして地域とつながるのかという点だと思います。

いわき市では全国に比べても人口あたりの医師の数が少なく、多職種連携無くしては医療崩壊まっしぐらという背景があったそうです。その中で、医師を中心として連携の場を作ろうという動きが盛んでした。
地域の交流会、つどいの場などに対して市役所の地域包括ケア推進課とともに連携したり、自分たちで運営している交流会や研修会を開催したりしながら地域の横のつながりを広げていったそうです。

そのような活動をすることで、自分たちの職種のことを知ってもらうことにつながったり、訪問リハビリテーションを実施する上で、連携がしやすくなったり、相談や依頼が増えたりしたそうです。

連携を進めていく上で気をつけなくてはならないのは、ひとりで全てをやろうとするとキャパオーバーに陥り、失敗してしまうという点です。

だからこそ、多職種連携が必要なのですが、私たちは専門職として、他のサービス提供者に対して厳しい目を持ちすぎてはいないか注意しなくてはなりません。

連携の際の心構えとして必要なのは、
①自分を知ること
②他人を知ること
③違いを受け入れること
④他社の価値や強みを認めること

私たちにとっての当たり前が、他の職域の人たちにとって当たり前であるとは限りません。知らないことを責めずに、建設的な提案ができるようになりたいですよね。

連携の基本は情報共有です。
いわゆる、報連相(報告・連絡・相談)も重要なのですが、新たな概念として確連報かくれんぼう:確認・連絡・報告)を提案しています。
相談をしてから、決めるのではなく、自発的に考えてから確認をとるという形もいいのかもしれません。

自分から行動を起こすことで、コミュニケーションが成立します。

そのような場に出た時には、自分をオープンにして、自分のことを知ってもらうこと。積極的に相手の話に耳を傾け、相手のことを理解しましょう。それがより良い連携につながっていきます。

連携のまとめですが、
自ら動き、多職種と連携をとりましょう!
コミュニケーション術を磨きましょう!
利用者・家族に良い影響をもたらしましょう!

といったところに集約されるでしょう。

最後はワークショップです。

テーマは「訪問療法士として考えるべき3つの視点」
サブテーマとして、①リハビリテーションマネジメント②訪問リハビリテーションにおけるリスク管理について③在宅ケアにおける多職種連携について

15グループにわかれて、それぞれディスカッションしました。
私のグループのメンバーは、北海道、新潟、茨城、埼玉、東京、島根など様々な地域で活躍されている先生方とのディスカッションでした。
それぞれの現場で、異なる悩みや問題点があったり、はたまた、同じような課題があったり。熱意をもって取り組まれている先生方とのディスカッションはとても興味深いものとなりました。

まとめ

前回のpart1に引き続き、part2の投稿でした。
記事の中では、取り上げられなかった内容もありますが、訪問に携わる方ならとても楽しく講習会に参加できると思います。
特に、全国の訪問療法士が集まる場というのはなかなか無いので、自分を広げるチャンスが沢山ある場だと感じました。

皆さんも、訪問リハビリテーション協会の研修会に参加してみてはいかがでしょうか?